看取り介護とは?事前に知っておくべきことや準備について解説

人生の終末期における看取り介護は、本人と家族にとって、かけがえのない時間を過ごすための重要なサポートです。この記事では、看取り介護とは何か、具体的にどのようなケアを行うのか、施設の種類によってどのような違いがあるのかを解説します。事前に知っておくべきことや準備について理解を深め、安心して最期の時を迎えられるようにしましょう。
目次
- 看取り介護とは?
- 看取り介護でおこなうこと
- 施設別の看取り対応
- 知っておきたい看取りの期間
- 看取り介護で大切なこと
- 看取り介護の流れ
- 看取り経験者から学ぶこと
- 看取りにおける介護保険
- 看取り介護と介護休暇
- 看取り介護でできること
- まとめ
看取り介護とは?
緩和ケア、ターミナルケアとの違い
看取り介護を理解する上で、緩和ケア、ターミナルケアとの違いを知っておくことは重要です。
- 緩和ケア:病気の進行に伴う様々な苦痛(痛み、息苦しさ、吐き気、精神的な苦しみなど)を和らげるためのケアです。病気の早期から行われ、治療と並行して行われることもあります。
- ターミナルケア:積極的な治療が難しいと判断された後、終末期を迎える患者さんに対して行われるケアです。身体的な苦痛の緩和に加え、精神的なケアや、家族へのサポートも含まれます。
- 看取り介護:ターミナルケアの一環として、介護施設や自宅などで、人生の最期を迎える方が、穏やかに、その人らしく過ごせるようにサポートすることです。身体的なケアはもちろん、精神的なケア、家族への支援など、多岐にわたるケアを行います。
看取り介護の定義をわかりやすく解説
看取り介護とは、人生の最終段階にある人が、身体的、精神的な苦痛を和らげながら、尊厳を保ち、その人らしく最期を迎えることができるようにサポートする介護です。具体的には、痛みの緩和、食事や排泄の介助、清潔保持、心のケアなどを行います。
看取り介護は、単に延命措置をしないということではありません。本人の意思を尊重し、可能な限り苦痛を取り除き、穏やかな時間を過ごせるように支援することが目的です。家族にとっても、大切な人とのかけがえのない時間を過ごせるように、精神的なサポートや情報提供を行います。介護施設によっては、医師や看護師、介護士、ケアマネジャーなどが連携し、チームで看取り介護を行う体制を整えています。
看取り介護でおこなうこと
看取り介護では、身体的なケア、精神的なケア、家族へのサポートが柱となります。それぞれのケアについて具体的に見ていきましょう。
身体的なケア
身体的なケアは、利用者の苦痛を緩和し、安楽な状態を保つために重要です。
- 疼痛管理:痛みがある場合は、医師の指示のもと、鎮痛剤を使用したり、身体を楽な体勢に整えたりします。
- 呼吸困難への対応:呼吸が苦しい場合は、酸素吸入を行ったり、体位を工夫したりします。
- 褥瘡予防:床ずれ(褥瘡)を予防するために、定期的な体位変換や、皮膚の清潔保持を行います。
- 口腔ケア:口の中を清潔に保ち、感染症を予防します。
- 排泄ケア:排泄の介助や、おむつ交換などを行います。
- 栄養管理:食事が困難な場合は、医師の指示のもと、経管栄養や点滴などを行います。
これらのケアは、利用者の状態に合わせて、医師や看護師、介護士が連携して行います。
精神的なケア
精神的なケアは、利用者の不安や孤独感を和らげ、穏やかな気持ちで過ごせるようにするために重要です。
- 傾聴:利用者の話を丁寧に聞き、気持ちを受け止めます。
- 共感:利用者の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示します。
- 励まし:利用者を励まし、希望を持てるようにサポートします。
- 回想法:昔の思い出を語り合うことで、利用者の心を落ち着かせます。
- 音楽療法:音楽を聴いたり、歌を歌ったりすることで、利用者の心を癒します。
精神的なケアは、介護士だけでなく、家族や友人、ボランティアなど、様々な人が行うことができます。
家族へのサポート
看取り介護は、利用者だけでなく、家族にとっても大きな負担となります。家族が安心して、大切な人との時間を過ごせるように、様々なサポートを行います。
- 情報提供:病状や今後の見通しについて、医師や看護師から詳しく説明を受けられるように調整します。
- 相談:介護に関する悩みや不安について、介護士やケアマネジャーに相談できます。
- 精神的なサポート:家族の精神的な負担を軽減するために、カウンセリングや、同じ境遇の人たちの集まりを紹介します。
- レスパイトケア:家族が休息を取れるように、一時的に介護を代行するサービスを提供します。
家族へのサポートは、介護施設だけでなく、地域包括支援センターや、訪問看護ステーションなどでも受けることができます。
施設別の看取り対応
看取り介護は、自宅だけでなく、介護施設や老人ホームなどでも行われています。それぞれの施設で、どのような看取り対応が行われているのかを見ていきましょう。
介護施設での看取り
介護施設では、介護士が中心となり、利用者の日常生活をサポートしながら、看取り介護を行います。医師や看護師と連携し、利用者の状態に合わせて、適切なケアを提供します。
介護施設での看取りのメリットは、24時間体制で介護を受けられること、医療機関との連携がスムーズであること、家族の負担を軽減できることなどが挙げられます。
老人ホームでの看取り
老人ホームには、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、有料老人ホームなど、様々な種類があります。それぞれの施設で、看取り対応は異なりますが、一般的には、医師や看護師、介護士が連携し、利用者の状態に合わせて、適切なケアを提供します。
有料老人ホームの中には、看取り介護に特化した施設もあります。これらの施設では、専門的な知識や技術を持ったスタッフが、24時間体制で利用者をサポートします。
特養での看取り
特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険施設であり、原則として要介護3以上の方が対象です。特養では、終身にわたって生活を支援することを目的としており、看取り介護も行っています。
特養での看取りの特徴は、入所者の生活を長く見守ってきた介護職員が、最期まで寄り添ってケアを行うことができることです。また、医師や看護師との連携も密であり、医療的なケアも提供できます。特養は、住み慣れた環境で最期を迎えたいと願う方にとって、適切な選択肢の一つとなるでしょう。
費用面の違い
施設の種類によって、看取りにかかる費用は大きく異なります。
施設の種類 | 費用 |
特別養護老人ホーム | 比較的安価。介護保険が適用されるため、自己負担額は所得に応じて異なります。ただし、入居待ちが発生しやすいのが難点です。 |
介護老人保健施設 | 特養よりやや高め。リハビリテーションを目的とした施設であるため、看取りを専門としているわけではありません。 |
有料老人ホーム | 施設によって大きく異なる。高額な施設も存在しますが、手厚いサービスを受けられる場合があります。看取り介護に特化した有料老人ホームも存在し、専門的なケアを受けることができます。 |
在宅介護 | 介護サービスを利用する場合、利用料が発生します。訪問看護、訪問介護、福祉用具レンタルなど、必要なサービスを組み合わせて利用するため、費用は個々の状況によって大きく変動します。 |
訪問看護 | 介護保険または医療保険が適用されます。利用回数や時間、サービス内容によって費用が異なります。24時間対応可能な訪問看護ステーションもあります。(参考:厚生労働省 訪問看護) |
費用の詳細は、各施設やサービス提供事業者に直接確認することが重要です。
期間の違い
看取りにかかる期間は、利用者の状態や疾患、施設の体制などによって異なります。一般的には、数日から数週間、長くても数ヶ月程度と言われています。
施設によっては、入居時に「終身利用」を前提としている場合があり、看取りまで手厚いケアを受けることができます。一方、在宅介護の場合は、家族の介護力や経済状況によって、看取り期間が左右されることがあります。
看取り期間は予測が難しいため、事前に医療機関や介護施設と相談し、看取りに関する方針や体制について確認しておくことが大切です。また、看取り期間中に利用できる介護サービスや医療費助成制度についても調べておくと良いでしょう。
看取りの期間については以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご確認ください。
看取りはどのくらいの期間が平均?危篤期間の対応方法についても解説
受けられるケアの違い
施設によって、受けられるケアの内容は異なります。
施設の種類 | 受けられるケア |
特別養護老人ホーム | 日常生活の介護(食事、排泄、入浴など)、機能訓練、健康管理、レクリエーションなど。看取り介護においては、身体的な苦痛の緩和、精神的なケア、家族へのサポートなどを行います。 |
介護老人保健施設 | 医学的な管理のもとでの介護、リハビリテーション、日常生活の支援など。在宅復帰を目的としているため、看取り介護に特化しているわけではありませんが、終末期におけるケアも行っています。 |
有料老人ホーム | 施設によって大きく異なる。介護サービス、生活支援サービス、医療サービス、レクリエーションなど、様々なサービスを提供しています。看取り介護に特化した有料老人ホームでは、専門的な知識や技術を持ったスタッフが、24時間体制で利用者をサポートします。 |
在宅介護 | 訪問看護、訪問介護、訪問リハビリテーション、福祉用具レンタルなど、必要なサービスを組み合わせて利用します。医療機関との連携も重要であり、医師の指示のもとで、適切なケアを提供します。家族の介護力や経済状況によって、受けられるケアの内容は大きく変動します。 |
看取り介護で大切なこと
本人の意向の尊重
看取り介護において最も大切なことは、本人の意向を尊重することです。延命治療を希望するのか、どのような場所で最期を迎えたいのか、どのようなケアを受けたいのかなど、本人の意思を事前に確認し、尊重することが重要です。
もし、本人が意思表示をすることが難しい場合は、家族や医療・介護チームと話し合い、本人の価値観や過去の言動などを参考に、最善の選択をすることが求められます。リビングウィル(終末期医療に関する事前指示書)やエンディングノートなどを活用することも有効です。
家族の心のケア
看取り介護は、家族にとっても大きな精神的な負担となります。大切な人が亡くなるという現実を受け止め、悲しみを乗り越えるためには、家族の心のケアが不可欠です。
家族の心のケアとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 話を聞く:家族の話を丁寧に聞き、気持ちを受け止める。
- 共感する:家族の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示す。
- 励ます:家族を励まし、希望を持てるようにサポートする。
- 情報を提供する:介護に関する情報や、利用できるサービスについて詳しく説明する。
- 相談に応じる:家族の悩みや不安について、専門家(医師、看護師、ケアマネジャー、カウンセラーなど)に相談できる機会を設ける。
- 休息を促す:家族が休息を取れるように、レスパイトケアなどのサービスを提供する。
医療・介護との連携
看取り介護は、医療・介護チームとの連携が不可欠です。医師、看護師、介護士、ケアマネジャーなどが、それぞれの専門性を活かし、協力して、利用者と家族をサポートします。
医療・介護チームとの連携においては、以下のようなことが重要です。
- 情報共有:利用者の病状や状態、希望などを、チーム全体で共有する。
- 役割分担:それぞれの専門性を活かし、役割分担を明確にする。
- 定期的な会議:定期的に会議を開き、利用者の状況やケアプランについて話し合う。
- 緊急時の対応:緊急時の連絡体制や対応方法を事前に確認しておく。
- 家族とのコミュニケーション:家族とのコミュニケーションを密にし、不安や疑問を解消する。
看取り介護の流れ
終末期からの流れ
終末期からの看取り介護の流れは、一般的に以下のようになります。
- 終末期の診断:医師が、患者さんの病状が終末期にあると診断します。
- 本人・家族への説明:医師が、本人と家族に、病状や今後の見通しについて説明します。
- 看取りに関する意向確認:医師や看護師が、本人と家族に、看取りに関する意向(延命治療の希望、最期を迎えたい場所、受けたいケアなど)を確認します。
- ケアプランの作成:本人の意向や病状に合わせて、ケアマネジャーが、ケアプランを作成します。
- 看取り介護の開始:ケアプランに基づき、医療・介護チームが、看取り介護を開始します。
- 看取り:患者さんが、穏やかに最期を迎えます。
- 死亡確認:医師が、死亡を確認します。
施設での看取りの流れ
施設での看取りは、ご本人の尊厳を尊重し、可能な限り苦痛を緩和しながら、穏やかな最期を迎えられるように支援することを目的としています。一般的な流れは以下の通りです。
- 終末期の診断と看取りの準備: 医師が終末期であると診断し、ご本人・ご家族の意向を確認しながら、看取り介護の準備を始めます。
- 多職種連携によるケアプラン作成: 医師、看護師、介護士、ケアマネジャーなどが連携し、ご本人の状態や意向に合わせたケアプランを作成します。
- 身体的なケア: 痛みや呼吸困難などの症状緩和、褥瘡予防、口腔ケア、排泄ケアなど、身体的な苦痛を和らげるケアを行います。
- 精神的なケア: 不安や孤独感の軽減、傾聴、共感、回想法など、精神的な安寧を保つためのケアを行います。
- ご家族へのサポート: ご家族の精神的なケア、介護方法のアドバイス、情報提供など、ご家族が安心して寄り添えるようにサポートします。
- 最期の時: ご本人が穏やかに最期を迎えられるよう、医療・介護チームが24時間体制で寄り添います。
- 死亡確認とご家族への連絡: 医師が死亡を確認し、ご家族に連絡します。
施設によっては、看取りに関する専門的な研修を受けたスタッフが配置されている場合や、24時間看護師が常駐している場合もあります。事前に施設の看取り体制について確認しておくと良いでしょう。
看取り後の手続き
看取り後には、様々な手続きが必要となります。主な手続きは以下の通りです。
- 死亡診断書の受け取り: 医師から死亡診断書を受け取ります。死亡診断書は、死亡届の提出や、様々な手続きに必要となります。
- 死亡届の提出: 死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村役場に死亡届を提出します。死亡届には、死亡診断書(または死体検案書)が必要です。
- 火葬・埋葬許可申請: 火葬を行う場合は、市区町村役場に火葬・埋葬許可申請を行います。
- 葬儀の手配: 葬儀社に連絡し、葬儀の手配を行います。
- 各種保険・年金の手続き: 健康保険、介護保険、年金などの手続きを行います。
- 遺産相続の手続き: 遺言書の有無を確認し、遺産相続の手続きを行います。
これらの手続きは、煩雑で時間もかかるため、専門家(行政書士、司法書士など)に依頼することも検討しましょう。また、市区町村役場では、死亡後の手続きに関する相談窓口を設けている場合もあります。
看取り経験者から学ぶこと
看取りで後悔しないために
看取りで後悔しないためには、事前の準備と心構えが重要です。 以下の記事で詳しく解説しております。ぜひご確認ください。
在宅での看取りで後悔をしないために。準備しておくべきことを解説!
看取りにおける介護保険
介護保険で利用できるサービス
看取り介護においても、介護保険で様々なサービスを利用することができます。
- 訪問看護: 看護師が自宅を訪問し、病状の観察、医療処置、疼痛管理、精神的なケアなどを行います。訪問看護と介護保険については、以下で詳しく解説しております。ぜひご確認ください。 介護保険で訪問看護を利用するには?サービス内容と料金を徹底解説!
- 訪問介護: 介護士が自宅を訪問し、身体介護(食事、排泄、入浴など)、生活援助(掃除、洗濯、買い物など)を行います。
- 訪問リハビリテーション: 理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、機能訓練やリハビリテーションを行います。
- 福祉用具のレンタル: ベッド、車椅子、歩行器など、必要な福祉用具をレンタルすることができます。
- 短期入所(ショートステイ): 短期間、介護施設に入所し、介護サービスを受けることができます。
- 通所介護(デイサービス): 日帰りで介護施設に通い、食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを受けることができます。
- 特定施設入居者生活介護: 介護付き有料老人ホームなどに入居している方が、介護サービスを受けることができます。
- 居宅療養管理指導: 医師や歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養上の指導やアドバイスを行います。
これらのサービスは、要介護認定を受けている方が利用できます。
介護支援専門員の役割
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険制度において、非常に重要な役割を担っています。
- ケアプランの作成: ご本人の状態や意向を把握し、適切な介護サービスを利用できるよう、ケアプランを作成します。
- サービス事業者との連絡調整: サービス事業者との連絡調整を行い、円滑なサービス提供を支援します。
- 介護に関する相談: 介護に関する様々な相談に応じ、適切なアドバイスを行います。
- 要介護認定の申請代行: 要介護認定の申請手続きを代行します。
- 給付管理: 介護保険サービスの利用状況を管理し、介護給付費の適正な利用を確保します。
看取り介護においても、ケアマネジャーは、ご本人やご家族の意向を尊重し、適切なサービスを選択し、利用できるよう、きめ細やかなサポートを行います。
費用を抑えるためのポイント
看取り介護にかかる費用を抑えるためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 介護保険を最大限に活用する: 介護保険で利用できるサービスを最大限に活用し、自己負担額を抑えましょう。
- 高額介護サービス費の利用: 介護保険サービスを利用した結果、自己負担額が高額になった場合は、高額介護サービス費の払い戻しを受けることができます。
- 医療費控除の利用: 一定額以上の医療費を支払った場合は、医療費控除を受けることができます。
- 生活保護の利用: 経済的に困窮している場合は、生活保護の利用を検討しましょう。
また、市区町村によっては、独自の介護サービスや助成制度を設けている場合があります。事前に確認しておくと良いでしょう。
看取り介護と介護休暇
介護休暇とは
介護休暇とは、労働者が、要介護状態にある家族の介護や世話をするために取得できる休暇です。介護休暇は、労働基準法ではなく、育児・介護休業法で定められています。
- 対象となる家族: 配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫
- 取得日数: 対象家族1人につき、年間5日まで。対象家族が2人以上の場合は、年間10日まで。
- 取得単位: 1日単位または時間単位で取得できます。(時間単位での取得は、事業主との労使協定が必要です。)
- 給与: 介護休暇期間中の給与は、法律で定められていません。就業規則等で確認する必要があります。
介護休暇の申請方法
介護休暇を申請するには、事業主に申し出ることが必要です。
- 申請時期: 介護休暇を取得する日の2週間前までに申し出ることが望ましいとされています。
- 申請方法: 口頭または書面で申し出ます。事業主によっては、所定の申請書が必要な場合があります。
- 必要な書類: 介護を必要とする家族の氏名、生年月日、続柄、要介護状態であることなどを証明する書類(医師の診断書、介護保険被保険者証など)が必要となる場合があります。
事業主は、原則として、労働者の介護休暇の申し出を拒否することはできません。ただし、業務の都合等により、やむを得ない場合は、取得時期の変更を求めることができるとされています。
介護休暇中の過ごし方
介護休暇は、大切な家族の看取りという、非常に困難な状況下で取得するものです。そのため、心身ともに疲弊している可能性が高く、休暇中の過ごし方は、その後の心のケアにも大きく影響します。
- 休息を優先する: まずは、心身を休めることを最優先に考えましょう。十分な睡眠を取り、好きなことをしてリラックスする時間を作りましょう。
- 家族との時間を大切にする: 介護が必要な家族との時間を大切にし、思い出を語り合ったり、感謝の気持ちを伝えたりするのも良いでしょう。
- 専門家のサポートを受ける: 精神的な負担が大きい場合は、カウンセラーや精神科医などの専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
- 介護サービスを活用する: 介護休暇中であっても、介護サービス(訪問介護、デイサービスなど)を積極的に活用し、負担を軽減しましょう。
- 無理をしない: 介護休暇中は、何もしないでいることに罪悪感を感じてしまう方もいますが、無理をせず、自分のペースで過ごすことが大切です。
看取り介護でできること
看取り介護は、医療・介護の専門職だけでなく、家族も重要な役割を担うことができます。それぞれの立場で、何ができるのかを見ていきましょう。
介護士ができること
介護士は、看取り介護において、以下のような役割を担うことができます。
- 身体的なケア: 清潔保持、食事介助、排泄介助、体位変換、褥瘡予防など、ご本人の身体的な苦痛を緩和し、安楽な状態を保つためのケアを行います。
- 精神的なケア: 傾聴、共感、励ましなど、ご本人の不安や孤独感を和らげ、穏やかな気持ちで過ごせるようにサポートします。
- ご家族へのサポート: 介護方法のアドバイス、情報提供、精神的なケアなど、ご家族が安心して寄り添えるようにサポートします。
- 多職種連携: 医師、看護師、ケアマネジャーなど、多職種と連携し、チームでご本人をサポートします。
- 看取り介護に関する知識・技術の向上: 看取り介護に関する研修に参加するなど、知識・技術の向上に努めます。
家族ができること
家族は、看取り介護において、以下のような役割を担うことができます。
- ご本人のそばに寄り添う: 可能な限り、ご本人のそばに寄り添い、安心感を与えましょう。
- 話を聞く: ご本人の話に耳を傾け、気持ちを受け止めましょう。
- 感謝の気持ちを伝える: これまでの感謝の気持ちを伝えましょう。
- 思い出を語り合う: 昔の思い出を語り合い、楽しい時間を過ごしましょう。
- 介護に参加する: 可能な範囲で、介護に参加しましょう。(食事介助、着替え、清拭など)
- 医療・介護チームと連携する: ご本人の状態や希望を伝え、医療・介護チームと連携して、ケアプランを作成しましょう。
- 休息を取る: 介護は、心身ともに大きな負担となります。無理をせず、休息を取りましょう。(レスパイトケアの利用も検討しましょう。)
医療従事者との連携
看取り介護は、医療従事者との連携が不可欠です。
- 医師: 病状の診断、治療方針の決定、疼痛管理、死亡診断などを行います。
- 看護師: 病状の観察、医療処置、疼痛管理、精神的なケア、ご家族へのサポートなどを行います。
- 薬剤師: 薬の処方、服薬指導、副作用の管理などを行います。
- リハビリテーション専門職: 機能訓練、リハビリテーション、生活環境の調整などを行います。
医療従事者とは、定期的に情報交換を行い、ご本人の状態や希望を共有することが大切です。また、緊急時には、迅速に対応できるよう、連絡体制を整えておくことも重要です。
まとめ
看取り介護で大切なこと
看取り介護で大切なことは、ご本人の尊厳を尊重し、可能な限り苦痛を緩和しながら、その人らしい最期を迎えられるように支援することです。そのためには、医療・介護の専門職だけでなく、家族も協力し、チームでご本人をサポートすることが重要です。
- ご本人の意向を尊重する
- 苦痛を緩和する
- 精神的なケアを行う
- ご家族をサポートする
- 医療・介護チームと連携する
今後の生活に向けて
看取り介護を終えた後は、心身ともに疲弊している状態です。無理をせず、休息を優先し、自分のペースで生活を取り戻していきましょう。
- 悲しみを乗り越える: 大切な人を失った悲しみは、簡単には癒えません。時間をかけて、ゆっくりと悲しみを乗り越えていきましょう。
- 周囲のサポートを受ける: 家族や友人、専門家など、周囲のサポートを受けながら、心のケアを行いましょう。
- 新しい生活を始める: 趣味やボランティアなど、新しいことに挑戦し、充実した生活を送りましょう。
看取り介護は、辛い経験ではありますが、同時に、人生において大切なことを見つめ直す機会でもあります。この経験を活かし、今後の人生をより豊かに過ごしていきましょう。
この記事が、看取り介護について理解を深め、安心して準備を進めるための一助となれば幸いです。もし、さらに詳しい情報や具体的なサポートが必要な場合は、お住まいの地域の地域包括支援センターや、医療機関、介護施設にご相談ください。
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