自宅で点滴を受けるには?訪問看護と費用について解説

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自宅で点滴を受けたいと考えている方にとって、訪問看護は大きな選択肢となります。しかし、訪問看護の利用条件や費用、手続きなど、わからないことが多く不安も大きいでしょう。この記事では、訪問看護における点滴サービスについて、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説します。自宅で点滴を受けるための情報を網羅し、不安を解消するお手伝いをいたします。

目次

訪問看護で点滴を受けられる?

はい、訪問看護を利用することで自宅で点滴を受けることが可能です。ただし、すべての状況で点滴が受けられるわけではありません。医師の指示と、訪問看護ステーションの体制が整っていることが必要です。

どんな場合に利用できる?

訪問看護で点滴を受けられる主なケースは以下の通りです。

  • 高齢で通院が困難な場合: 年齢や体力的な理由で病院に通院することが難しい高齢者の方にとって、自宅で点滴を受けられることは大きなメリットとなります。
  • 持病の治療や管理が必要な場合: 糖尿病、高血圧、感染症など、持病の治療や管理のために定期的な点滴が必要な場合、訪問看護を利用することで自宅で治療を継続できます。 例えば、抗生物質の点滴治療が必要な肺炎の患者さんや、脱水症状の改善に必要な点滴治療が必要な高齢者などが該当します。
  • 手術後や病気療養中の場合: 手術後や病気療養中の回復期において、点滴による栄養補給や水分補給が必要な場合、自宅で点滴を受けることで安静を保ちながら回復に専念できます。
  • 在宅医療を希望する場合: 病院での治療を避け、自宅で最期まで過ごしたいと願う方にとって、訪問看護による点滴は、尊厳ある在宅医療を実現するための重要な手段となります。

必要な手続きや書類は?

訪問看護の利用には、以下の手続きが必要です。

  1. 主治医への相談: まず、主治医に訪問看護による点滴治療の可能性について相談します。医師が訪問看護の必要性を認め、指示書を発行してくれます。
  2. 訪問看護ステーションへの問い合わせ: 医師の指示書を持って、地域の訪問看護ステーションに問い合わせ、サービス内容や利用料金、スケジュールなどを確認します。複数のステーションに問い合わせ、比較検討することをお勧めします。
  3. 訪問看護計画の作成: 看護師がご自宅を訪問し、点滴の内容、頻度、必要な医療機器、ご自宅の環境などを確認し、訪問看護計画を作成します。
  4. 保険証の提出: サービス開始前に保険証を提出します。医療保険または介護保険が適用されます。
  5. サービス開始: 訪問看護計画に基づき、看護師が定期的にご自宅を訪問し、点滴を行います。

医療保険と介護保険の違いは?

訪問看護における点滴の費用は、医療保険と介護保険のどちらかが適用されます。どちらの保険が適用されるかは、利用者の状態や点滴の目的によって異なります。

区分適用条件自己負担割合
医療保険病気やけがの治療を目的とした点滴通常点滴料金の3割
介護保険要介護状態にある方の介護を目的とした点滴(例:栄養補給)1割または2割(介護保険の自己負担割合による)

医療保険の場合は、高額療養費制度の適用を受けることで、自己負担額を抑えることができます。介護保険の場合は、要介護度によって自己負担割合が異なります。 具体的な費用は、訪問看護ステーションによって異なりますので、事前に確認が必要です。

具体的な費用例として、医療保険適用で抗生物質の点滴を週1回行った場合、1回あたり3,000円(薬剤費込み)とすると、1ヶ月(4回)で12,000円の費用がかかります。3割負担であれば自己負担額は3,600円となり、残りは医療保険で賄われます。しかし、薬剤の種類や点滴量によって費用は大きく変動しますので、必ず訪問看護ステーションに確認しましょう。

また、介護保険が適用される場合、例えば栄養補給を目的とした点滴の場合、1回あたり2,000円とすると、週2回で1ヶ月(4週間)に16,000円の費用がかかります。1割負担であれば自己負担額は1,600円、2割負担であれば3,200円となります。 これらの数値はあくまで例であり、実際にかかる費用は、点滴の種類、回数、薬剤費、訪問時間などによって異なります。訪問看護ステーションと事前に詳細な料金を確認することが大切です。

訪問看護における点滴の種類

訪問看護で受けられる点滴の種類は多岐に渡り、患者の状態や治療目的によって異なります。 ここでは、代表的な点滴の種類とその特徴、そしてそれぞれの点滴に必要なものについて解説します。

点滴の種類と特徴

訪問看護における点滴は、大きく分けて栄養補給、輸液、薬物療法の3つに分類できます。それぞれに様々な種類があり、医師の指示に基づいて適切なものが選択されます。

1. 栄養補給のための点滴

  • 高カロリー輸液: 手術後や重症疾患で食事摂取が困難な場合に、必要な栄養素を点滴で補給します。アミノ酸、ブドウ糖、脂質などを含む混合液が使用されます。高カロリー輸液は、体力を回復させ、感染症への抵抗力を高める効果が期待できます。 点滴速度や成分は、患者の状態に合わせて調整されます。
  • アミノ酸輸液: タンパク質の材料となるアミノ酸を供給することで、筋肉量の維持や回復を促進します。高齢者や病気療養中の方の栄養状態の改善に有効です。
  • 脂肪輸液: エネルギー源となる脂肪を供給します。高カロリー輸液の成分として含まれることも多いです。

2. 輸液

  • 生理食塩液: 体液と浸透圧が近い生理食塩水は、脱水症状の改善や血液量を維持するために使用されます。吐き気や下痢、発熱などで水分が不足している場合に効果を発揮します。
  • ブドウ糖液: エネルギー源となるブドウ糖を供給します。脱水症状の改善や低血糖の治療にも用いられます。
  • 電解質輸液: ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質バランスを整えるための輸液です。嘔吐や下痢などで電解質が失われた場合に必要となります。 特に、心臓や腎臓の疾患を持つ患者さんにおいては、電解質バランスの維持が重要になります。

3. 薬物療法のための点滴

  • 抗生物質: 細菌感染症の治療に用いられます。 点滴によって効率的に薬剤を体内に供給することで、感染症の症状を改善します。 抗生物質の種類は非常に多く、感染症の原因菌によって選択されます。
  • 鎮痛剤: 痛みを和らげるための薬剤です。癌疼痛や術後痛などの強い痛みを軽減するために使用されます。
  • 抗がん剤: 癌の治療に用いられる薬剤です。 点滴によって癌細胞の増殖を抑える効果が期待できます。 抗がん剤の種類も多様であり、癌の種類や進行度に合わせて選択されます。
  • その他: 上記以外にも、様々な薬剤が点滴によって投与されます。 例えば、吐き気止め、下痢止め、利尿剤など、患者の状態に合わせて適切な薬剤が選択されます。

それぞれの点滴に必要なもの

点滴の種類によって、必要なものは異なりますが、一般的に以下のものが用意されます。

  • 点滴セット: 点滴液を静脈に注入するための器具です。
  • 点滴液: 医師の指示に基づき、適切な点滴液が準備されます。
  • 注射針: 点滴液を注入するための針です。
  • 輸液ポンプ(場合によっては): 点滴速度を正確に制御するための機器です。高カロリー輸液など、点滴速度の管理が重要な場合に使用されます。
  • 消毒液: 点滴を行う部位の消毒に使用します。
  • 脱脂綿: 注射針を抜いた後の止血に使用します。
  • ガーゼ: 消毒や止血に使用します。
  • テープ: 点滴部位を固定するために使用します。
  • 処方箋・指示書: 医師の指示に基づいて点滴を行うために必要な書類です。

訪問看護ステーション選びのポイント

自宅で点滴を受けるためには、信頼できる訪問看護ステーションを選ぶことが非常に重要です。 ステーション選びの際には、以下の点を考慮しましょう。

  • 経験と実績: 点滴などの高度な医療処置の実績が豊富なステーションを選ぶことが大切です。
  • 対応エリア: ご自宅に対応エリア内であるかを確認しましょう。
  • 看護師の質: 看護師の経験やスキル、対応の良さなどを確認しましょう。 面談などで実際に話を聞いてみるのも有効です。
  • 費用: サービス内容と費用を比較検討し、適切な価格帯のステーションを選びましょう。
  • 24時間対応の有無: 緊急時にも対応できる体制であるかを確認しましょう。これは、特に高齢者や持病のある方にとって重要なポイントとなります。

訪問看護による点滴は、自宅で安心して療養生活を送る上で非常に有効な手段です。 しかし、適切なステーション選びや医師との連携が不可欠です。 この記事が、皆様の訪問看護の利用をサポートできれば幸いです。

訪問看護点滴にかかる費用

訪問看護における点滴の費用は、利用する保険の種類、点滴の種類、回数、薬剤の種類、訪問看護ステーションによって大きく異なります。 事前に費用についてしっかりと理解しておくことは、安心してサービスを受けられるために非常に重要です。

保険適用と自己負担額

訪問看護の点滴費用は、原則として医療保険または介護保険が適用されます。 どちらの保険が適用されるかは、点滴の目的によって異なります。

具体的な費用例(あくまで目安です。必ず訪問看護ステーションに確認してください)

保険種類点滴の種類1回あたりの費用(例)自己負担割合(3割負担の場合)1ヶ月(4回)の自己負担額(例)
医療保険生理食塩液1,000円300円1,200円
医療保険抗生物質点滴(薬剤費込み)5,000円1,500円6,000円
介護保険栄養補給点滴2,000円600円2,400円

上記はあくまで例であり、実際にかかる費用は点滴の種類、薬剤の種類、処置時間、訪問回数などによって大きく変動します。 また、薬剤費は別途請求される場合もあります。 必ず、事前に訪問看護ステーションに詳細な費用について問い合わせ、見積もりを取ることが重要です。

費用を抑えるための方法

訪問看護点滴にかかる費用を抑えるための方法として、以下の点が挙げられます。

  • 医療保険の適用範囲を明確にする: 点滴の目的が治療であることを明確にすることで、医療保険の適用を受けやすくなります。
  • 必要な点滴の回数を検討する: 医師と相談し、本当に必要な点滴の回数を見極めることで、費用を抑えることができます。
  • ジェネリック医薬品を検討する: 医師と相談の上、ジェネリック医薬品を使用することで、薬剤費を抑えることが可能です。
  • 高額療養費制度の活用: 医療保険が適用される場合、自己負担額が一定額を超えた場合は、高額療養費制度の利用により、自己負担額を軽減することができます。

訪問看護点滴を受けるための準備

自宅で点滴を受けるためには、事前の準備が不可欠です。スムーズに訪問看護サービスを受けられるよう、医師との連携、看護師との打ち合わせ、そして自宅環境の準備を万全に行いましょう。

事前の医師の指示と相談

まず、何よりも重要なのは主治医との綿密な相談です。 訪問看護による点滴治療が必要かどうか、どのような種類の点滴が必要なのか、点滴の頻度や期間はどのくらいになるのかなど、医師に詳しく尋ねましょう。 医師は、あなたの病状や健康状態を総合的に判断し、訪問看護による点滴治療が適切かどうかを判断します。 また、点滴の種類や薬剤、必要な量などを指示書に記載し、訪問看護ステーションに提出する必要があります。

医師との相談では、以下の点を明確にしましょう。

  • 点滴の目的: 治療、栄養補給、水分補給など、点滴の目的を明確にすることで、適切な点滴の種類や頻度を決定できます。
  • 点滴の種類と薬剤: 使用する点滴液の種類や薬剤名、量などを具体的に指示してもらいます。
  • 点滴の頻度と期間: 点滴を行う頻度や期間を医師に確認します。 これは、訪問看護ステーションのスケジュール調整や、費用計画を立てる上で重要です。
  • 可能な点滴時間: 点滴にかかる時間を医師に確認し、生活スケジュールとの調整を行います。 例えば、仕事や他の予定との兼ね合いを考え、可能な点滴時間を事前に把握しておくことが大切です。
  • 合併症のリスクと対応: 点滴に伴うリスクや合併症について、医師から説明を受け、不安な点があれば質問しましょう。

医師の指示書には、患者の氏名、病名、点滴の種類、薬剤名、投与量、投与頻度、投与方法などが明確に記載されている必要があります。この指示書は、訪問看護ステーションに提出され、サービス提供の基礎となります。 指示書がないと訪問看護による点滴治療は開始できませんので、必ず医師から指示書を受け取ることが重要です。

看護師との打ち合わせ

医師の指示書を基に、訪問看護ステーションの看護師と打ち合わせを行います。 この打ち合わせでは、点滴の実施方法、スケジュール、費用、必要な準備などについて詳細に確認します。 また、ご自宅の環境や生活状況なども説明し、安全に点滴を受けられるように配慮してもらうことが重要です。

打ち合わせで確認すべき点は以下の通りです。

  • 訪問時間と頻度: 訪問看護師の訪問時間と頻度を調整します。 あなたの生活スタイルや仕事の予定などを考慮し、可能な時間帯を伝えましょう。
  • 点滴実施場所: ご自宅内で点滴を行う場所を決定します。 安全で清潔な場所を選び、十分なスペースを確保しましょう。
  • 必要な医療機器: 輸液ポンプやその他の医療機器が必要な場合、訪問看護ステーションが準備するのか、自分で準備する必要があるのかを確認します。
  • 緊急時の対応: 緊急時における連絡先や対応体制を確認しましょう。 何か問題が発生した場合に迅速に対応できる体制が整っているかを確認する必要があります。
  • 費用と支払い方法: 点滴にかかる費用や支払い方法について、再度確認します。 不明な点があれば、丁寧に質問し、理解した上で契約しましょう。

看護師との良好なコミュニケーションは、安全で安心できる点滴治療を行うために不可欠です。 不安な点や疑問点は、遠慮なく相談しましょう。

点滴に必要な環境の準備

訪問看護による点滴を受けるためには、自宅環境の準備も重要です。 安全で清潔な環境を確保することで、感染症のリスクを軽減し、安心して点滴を受けることができます。

具体的な準備として、以下の点をチェックしましょう。

  • 点滴場所の確保: 清潔で広々としたスペースを確保します。 ベッドや椅子など、点滴を受けるための適切な場所を用意しましょう。 周囲に邪魔になるものがないか、十分なスペースがあるかを確認しましょう。
  • 清潔なタオルやシーツの準備: 点滴を行う際に、清潔なタオルやシーツを用意しましょう。 清潔な環境を維持することは、感染予防に非常に重要です。
  • 照明の確保: 点滴を行う場所には十分な照明が必要です。 看護師が点滴部位を確認しやすく、安全に点滴を実施できるようにしましょう。
  • コンセントの確認: 輸液ポンプを使用する場合、コンセントの位置や数を事前に確認しましょう。 延長コードなどが必要な場合は、準備しておきましょう。
  • トイレの確認: 点滴中はトイレにいけないため、点滴開始前にトイレに行っておきましょう。
  • 緊急連絡手段の確認: 携帯電話や固定電話など、緊急時に連絡できる手段を確認しましょう。

事前にしっかりと準備することで、訪問看護による点滴をスムーズに、そして安全に受けることができます。 不安な点があれば、いつでも訪問看護ステーションに連絡を取り、相談しましょう。

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東京都を中心に、港区・目黒区・品川区・中野区など、地域の方々の在宅での療養生活を支える訪問看護ステーション「おうちナースプリュム」では、自宅での点滴治療をご希望の方を積極的にサポートしています。 ご高齢の方や、通院が困難な方でも、安心して自宅で点滴を受けられるよう、経験豊富な看護師が丁寧にケアいたします。

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