訪問看護の利用回数は週何回まで?医療保険と介護保険で上限は?

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この記事では、訪問看護の利用回数について、医療保険と介護保険それぞれの制度を詳しく解説します。訪問看護は週何回まで利用可能か?という疑問を持つ方の不安を解消できるよう、具体的な例を交えながら分かりやすく解説します。

目次

医療保険の訪問看護:週何回まで?

医療保険を利用した訪問看護の回数は、基本的に週3回(1回につき30分から90分以内)までです。(参考:厚生労働省 - 訪問看護のしくみ )しかし、いくつかの条件を満たせば、週4回以上の訪問も可能です。

週3回が基本

多くの場合、医療保険による訪問看護は週3回を上限としています。これは、医療保険の制度設計上、緊急性の高い医療的ケアを必要とする方が優先的に利用できるようにするためです。 週3回を超える訪問が必要な場合は、後述の条件を満たす必要があります。

週4回以上の条件

週4回以上の訪問看護を受けるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 別表7・8に該当する疾病や状態である場合:後述しますが、特定の重篤な疾患や状態に該当する場合は、週3回を超える訪問が認められます。
  2. 特別指示書が発行されている場合:主治医が、利用者の状態から頻回な訪問看護が必要と判断した場合、特別訪問看護指示書(特別指示書)を発行します。この指示書があれば、週4回以上の訪問が可能になります。

別表7・8該当者の場合

週4回以上の訪問を認める「別表7、8」に該当する疾患や状態は以下の通りです。これらの疾患に罹患している、または該当する状態にある場合は、医師の判断により週4回以上の訪問看護を受けることができます。


別表7に掲げる疾病

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病疾患 関連
  • 多系統萎縮症
  • プリオン病
  • 亜急性硬化症全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

別表8に該当するもの

  • 在宅悪性腫瘍患者指導管理もしくは、在宅気管切開患者指導管理を受けている
  • 気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している
  • 以下の指導管理を受けている状態
  • 在宅自己腹膜灌流指導管理
  • 在宅血液透析指導管理
  • 在宅酸素療法指導管理
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  • 在宅自己導尿指導管理
  • 在宅人工呼吸指導管理
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  • 在宅自己疼痛管理指導管理
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理
  • 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
  • 真皮を越える褥瘡の状態にある者
  • 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

特別指示書について

特別訪問看護指示書(以下、特別指示書)は、主治医が、利用者の状態を診て、通常の訪問看護の回数(医療保険の場合は、通常週3回)では不十分だと判断した場合に発行するものです。この指示書があれば、医療保険の訪問看護において、週4回以上の訪問が可能になります。(参考:訪問看護のしくみ

特別指示書の交付頻度は、状況によって異なります。

  • 1か月に1回交付されるケース: 急性感染症の急性増悪期、末期癌以外の終末期、退院直後で週4日以上の頻回の訪問看護が必要な場合など。これは、状況が比較的安定している場合、もしくは、一定期間で状態が改善が見込まれる場合に該当します。 例えば、肺炎で入院後、退院して自宅療養する場合、回復過程に合わせて訪問回数も調整していくため、1ヶ月に1回の交付で十分な場合があります。
  • 1か月に2回まで交付されるケース: 気管カニューレを使用している状態、真皮を超える褥瘡(床ずれ)がある状態など。これらの状態は、常に注意が必要なため、状態の変化に応じてより頻繁な訪問が必要になる可能性が高く、2回までの交付が認められています。例えば、在宅酸素療法を受けている患者さんで、呼吸状態が不安定な場合は、状態の急変に備え、より頻繁な医師の判断と訪問看護が必要となるでしょう。

特別指示書が必要かどうかは、主治医が患者さんの状態を総合的に判断して決定します。 ご自身の状況について不安な点があれば、主治医に積極的に相談し、必要な場合には特別指示書を依頼しましょう。 訪問看護の必要性や頻度について、医師と十分に話し合うことが重要です。 訪問看護を受ける上で、医師との連携がスムーズに進むよう、日頃からコミュニケーションを大切にしましょう。 また、訪問看護ステーションの看護師にも、日々の状況をきちんと報告することで、より適切なケアを受けることができます。 これは、医療保険における週4回以上の訪問看護を受けるための重要なステップです。 医師との連携を密にすることで、より安全で質の高い訪問看護サービスを受けることができるでしょう。

介護保険の訪問看護は週何回まで?

訪問看護において、医療保険より介護保険が優先して適用(特定疾患でない限り)されることが基本ですが、介護保険の場合、週に何回まで利用できるのでしょうか?

回数制限はない

介護保険を利用した訪問看護には、原則として回数制限はありません。医療保険とは異なり、介護保険では、必要とされる訪問看護の回数を柔軟に調整することが可能です。 これは、介護保険が、要介護状態にある方の日常生活を支えることを目的としているためです。 ただし、介護保険のサービスは、ケアプランに基づいて提供されます。 そのため、訪問看護の回数についても、ケアマネージャーと相談し、ケアプランに沿って決定する必要があります。

介護保険による訪問看護は、利用者の状態やニーズに合わせて、柔軟に回数や内容を調整することが可能です。 例えば、状態が安定している時期には週1回程度の訪問で十分な場合もありますし、逆に状態が悪化したり、何か変化があった場合には、より頻繁な訪問が必要となる場合もあります。 大切なのは、利用者の方とご家族、ケアマネージャー、訪問看護ステーションの看護師が連携して、最適な訪問看護の計画を立てることです。 その計画に基づいて、必要に応じて回数を調整していくことが、介護保険における訪問看護の特徴です。

介護保険では、訪問看護以外にも様々なサービスを利用することが可能です。 リハビリや訪問介護、デイサービスなど、複数のサービスを組み合わせることで、より充実した在宅生活を送ることができるでしょう。

また、居宅療養管理指導という制度を組み合わせることで、訪問看護ステーションが提供できるケアの幅は大きく広がります。この制度は、医師、歯科医師、歯科衛生士、薬剤師、管理栄養士などの専門職が利用者の自宅や入所施設を訪問し、療養生活を支えるための管理や指導を行う仕組みです。居宅療養管理指導は、要介護認定を受けた方を対象としており、利用者一人ひとりの生活環境や健康状態を考慮しながら支援を行います。

これらの専門職が訪問看護ステーションと連携することで、利用者を支える包括的なケアが可能となっています。

1日の複数回訪問について

介護保険の訪問看護では、1日に複数回の訪問も可能です。 ただし、1日に何回も訪問看護が必要なケースは、利用者の状態によっては、他の介護サービスとの連携が必要になる場合があります。 例えば、夜間の急変時に対応するため、訪問介護サービスと連携したり、日中の状態把握と夜間の見守りを別々の訪問看護で対応したりするなどのケースが考えられます。 また、訪問看護の利用回数や1日の訪問回数については、利用者の状態やニーズ、そしてケアプランの内容によって異なります。 そのため、訪問看護ステーションやケアマネージャーとよく相談し、最適な計画を立て、実施することが重要です。

1日の複数回訪問が必要な場合、その理由や内容について、ケアマネージャーにきちんと説明することが重要です。 ケアマネージャーは、利用者の状態を把握し、適切な介護サービスの計画を立てる役割を担っています。 そのため、1日の複数回訪問が必要な理由を明確に説明することで、ケアマネージャーはより適切なケアプランを作成し、訪問看護ステーションとの連携をスムーズに進めることができます。 また、訪問看護ステーション側も、利用者の状態やニーズを理解することで、より質の高いサービスを提供することができるでしょう。 訪問看護の利用回数や1日の訪問回数については、柔軟に対応できるよう、訪問看護ステーションやケアマネージャーとのコミュニケーションを密にすることが大切です。

2時間ルールについて

介護保険の訪問看護では、「2時間ルール」と呼ばれるものがあります。これは、1回の訪問につき、原則として2時間以内とするというルールです。このルールは、訪問看護の質を確保し、より多くの利用者にサービスを提供するため、そして、他の介護サービスとの適切な連携を促すために設けられています。

しかし、この「2時間ルール」は絶対的なものではなく、利用者の状態やニーズによっては、例外的に2時間を超える訪問も認められます。 例えば、高度な医療的ケアが必要な場合や、複数の処置を同時に行う必要がある場合など、2時間では対応しきれないケースは例外として認められます。 ただし、2時間を超える場合は、その理由を明確にケアマネージャーに説明し、理解を得る必要があります。 ケアマネージャーは、利用者の状況を総合的に判断し、適切な介護サービス計画を立てる役割を担っており、2時間超えの訪問を認めるかどうかを判断する重要な役割を担っています。 訪問看護ステーションも、2時間を超える訪問を計画する際には、ケアマネージャーと十分に連携を取り、利用者にとって最適なサービス提供体制を確保する必要があります。

2時間ルールを超える訪問が必要なケースの例としては、例えば、以下のような状況が挙げられます。

  • 重症の褥瘡(床ずれ)の処置が必要な場合:高度な医療的処置や、広範囲にわたる処置を必要とする場合、2時間では対応しきれない可能性があります。
  • 複数の医療機器の管理が必要な場合:人工呼吸器や経管栄養など、複数の医療機器の管理が必要な場合、それぞれの機器の管理に時間を要するため、2時間では対応できないことがあります。
  • 複数の医療行為が必要な場合:点滴、注射、吸引など、複数の医療行為を同時に行う必要がある場合、それぞれの行為に時間を要するため、2時間では対応できない可能性があります。
  • 精神的に不安定な利用者への対応が必要な場合:精神的に不安定な利用者に対しては、じっくりと時間をかけて話を聞いたり、寄り添ったりする必要があるため、2時間では十分な対応ができない場合があります。

これらの状況においては、訪問看護ステーションとケアマネージャーが連携し、利用者の状態やニーズを丁寧に検討し、2時間ルールを超える訪問の必要性を判断します。 利用者やご家族は、必要に応じて、訪問看護ステーションやケアマネージャーに積極的に相談することをお勧めします。 常に、利用者にとって最適なケアが提供されるよう、関係者間で密な連携と情報共有が不可欠です。 訪問看護の利用回数は、利用者の状態やニーズによって大きく異なるため、個々の状況を正確に把握し、それに合わせた柔軟な対応が求められます。

訪問回数の調整:増減の相談

利用者の状態の変化に応じて、訪問看護の回数を増やす、または減らすという調整が必要になる場合があります。

回数増の相談方法

訪問看護の回数を増やす必要がある場合は、まず、主治医またはケアマネージャーに相談しましょう。

  • 医療保険の場合: 主治医に現状を説明し、訪問看護の増回を依頼します。 主治医は、利用者の状態を診察し、訪問看護の必要性を判断し、必要であれば、医療保険の範囲内で適切な回数を指示してくれます。 また、特別指示書が必要になる可能性もあります。
  • 介護保険の場合: ケアマネージャーに現状を説明し、訪問看護の増回について相談します。 ケアマネージャーは、利用者の状態やニーズを把握し、訪問看護ステーションと連携して、ケアプランの変更を行います。 増回に伴う介護保険のサービス利用状況や費用についても相談することができます。

どちらの場合も、具体的な理由を明確に説明することが重要です。 例えば、「最近、転倒が増えたため、より頻繁な状態確認が必要になった」や、「介護者の負担が増加しているため、訪問看護の回数を増やして負担を軽減したい」など、具体的な状況を説明することで、よりスムーズに相談を進めることができます。 また、訪問看護ステーションにも状況を伝え、増回に係る調整を依頼しましょう。

回数減の相談方法

訪問看護の回数を減らす必要がある場合も、同様に主治医またはケアマネージャーに相談しましょう。

  • 医療保険の場合: 主治医に現状を説明し、訪問看護の減回について相談します。 主治医は、利用者の状態を診察し、訪問看護の必要性を判断します。 状態が安定している場合など、減回が適切と判断されれば、指示を出してくれます。
  • 介護保険の場合: ケアマネージャーに現状を説明し、訪問看護の減回について相談します。 ケアマネージャーは、利用者の状態やニーズを把握し、訪問看護ステーションと連携して、ケアプランの変更を行います。 減回に伴う介護保険のサービス利用状況や費用についても相談することができます。

回数を減らす理由も明確に説明することが重要です。 例えば、「状態が安定してきたため、訪問回数を減らしたい」や、「経済的な理由から訪問回数を減らさざるを得ない」など、具体的な理由を伝えることで、よりスムーズに相談を進めることができます。 訪問看護ステーションにも、減回について相談し、スケジュールの調整などの協力を得ましょう。

訪問看護の回数の増減は、利用者の状態やニーズに合わせた柔軟な対応が求められます。 主治医やケアマネージャー、そして訪問看護ステーションと密に連携を取りながら、最適な訪問看護計画を立てることが大切です。

費用と回数:医療保険・介護保険

訪問看護の費用は、利用する保険制度(医療保険または介護保険)によって大きく異なります。 また、訪問回数とも密接に関連しています。

医療保険の費用

医療保険を使った訪問看護の費用は、訪問回数、内容、そして利用者の状態によって大きく変動します。 基本的には、1回の訪問ごとに費用が発生し、その金額は、実施された医療行為の内容や時間によって異なります。 例えば、点滴や注射などの処置が必要な場合は、処置がない場合よりも費用が高くなります。 また、同じ処置でも、処置にかかる時間が長ければ長いほど、費用は高くなります。

さらに、医療保険では、「難病等複数回訪問加算」といった加算料金が適用される場合があります。 これは、1日に複数回訪問する場合に算定されるもので、訪問回数が多いほど費用は高くなります。

難病等複数回訪問加算同一建物の人数算定料(例)
1日に2回訪問した場合2人以下4,500円/1日
3人以上4,000円/1日
1日に3回訪問した場合2人以下8,000円/1日
3人以上7,200円/1日

(※ 算定料はあくまで例であり、実際は変更されている可能性があります。最新の料金については、保険者や訪問看護ステーションにご確認ください。)

また、利用者の所得によって自己負担割合が変わるため、最終的な支払金額は、利用者の所得と、訪問看護の内容によって大きく変わってきます。 訪問看護を受ける前に、訪問看護ステーションに費用について詳しく確認することを強くお勧めします。 また、事前に医療保険の自己負担額を確認しておくことで、経済的な負担を事前に把握し、安心して訪問看護サービスを受けられます。 不明な点があれば、遠慮なく訪問看護ステーションに問い合わせてください。

医療保険の適用条件や費用については、こちらの記事でも解説しているので是非ご覧ください。

訪問看護で医療保険が適用される条件とは?介護保険との違いも解説!

介護保険の費用

介護保険を使った訪問看護の費用は、利用者の要介護度、そして訪問回数、内容によって決定します。 介護保険では、利用者の要介護度に応じて、1回あたりの費用が決まっており、要介護度が高いほど、1回あたりの費用は高くなります。 また、訪問回数が多いほど、当然ながら費用も高くなります。 しかし、介護保険では、利用者の所得に応じて自己負担割合が異なり、所得が少ないほど自己負担割合は低くなります。

介護保険の自己負担割合は、1割、2割、3割のいずれかです。 これは、利用者の所得に応じて決定されます。 所得が少ない方は、自己負担割合が1割となり、費用負担を軽減することができます。 また、介護保険サービスの利用には、ケアプランの作成が必須です。 ケアプランでは、利用者の状態やニーズ、そして介護サービスの利用計画が具体的に示されており、訪問看護の回数や内容もケアプランに沿って決定されます。

介護保険による訪問看護サービスの費用は、複雑な要素が絡み合っているため、正確な金額を算出するには、ケアマネージャーに相談することが重要です。 ケアマネージャーは、利用者の状態やニーズ、そして介護保険制度をよく理解しており、最適な介護サービス計画を作成し、費用についても詳しく説明してくれます。 介護保険サービスを利用する際には、ケアマネージャーと密に連携を取り、不明な点や不安な点はすぐに相談するようにしましょう。 また、介護保険サービスの利用料金や自己負担額については、市区町村の介護保険課でも確認することができます。

介護保険については、こちらの記事でも詳しく解説しております。

介護保険で訪問看護を利用するには?サービス内容と費用を徹底解説!

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