訪問看護で医療保険が適用される条件とは?介護保険との違いも解説!

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訪問看護を利用する際、「医療保険」と「介護保険」のどちらが適用されるのかは、利用者やその家族にとって大きな関心事です。この選択は、保険料やサービスの内容、さらには利用回数に大きな影響を及ぼします。 しかし、どのような条件で医療保険が適用されるのか、また介護保険との違いについて詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。本記事では、訪問看護における医療保険の適用条件を詳しく解説し、介護保険との違いについても分かりやすくご紹介します。訪問看護サービスを最大限に活用するために、ぜひお役立てください。

目次

訪問看護に医療保険が適用される条件

訪問看護を利用する際には、医療保険と介護保険のどちらが適用されるかが重要です。それぞれ適用条件が異なり、場合によっては医療保険が優先されるケースもあります。まず、医療保険の適用条件について見ていきましょう。

医療保険の適用条件

医療保険が適用される条件として、利用者の年齢や病状、さらには医師の判断などが関わってきます。基本的には、40歳未満の方や、65歳以上で要支援・要介護認定を受けていない方が対象となります。また、「厚生労働大臣が定める疾病」に該当する方も医療保険の適用が可能です。これには、末期がんや多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった重篤な疾患が含まれます。このような疾患を持つ場合、医療保険による訪問看護が必要と判断されることが多いです。さらに、医師が特別訪問看護指示書を発行した場合も、医療保険が適用されることになります。


※厚生労働大臣が定める疾病

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

介護保険の適用条件

一方で、介護保険が適用されるのは、主に65歳以上で要支援・要介護認定を受けた方です。また、40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」においても、特定の16の疾病がある場合には介護保険の適用が認められます。これには、脳血管疾患やパーキンソン病といった、生活の質を大きく損なう疾病が含まれています。これらの疾病は日常生活への影響が大きいため、介護保険による支援が重要です。介護保険の適用を受けることで、訪問看護による支援や生活サポートがより身近になります。


※特定の16の疾病

  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン舞踏病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。)をいう。)
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群をいう。)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷及び人工呼吸器を使用している状態

医療保険が優先されるケースとは?

介護保険の適用条件を満たしている方でも、特定の条件下では医療保険が優先されるケースがあります。具体的には、先述した「厚生労働大臣が定める19の疾病および1つの状態」に該当する場合や、医師が特別訪問看護指示書を発行した場合がこれにあたります。このようなケースでは、介護保険よりも医療保険が適用され、医療的なケアが中心となる訪問看護が提供されます。つまり、医療保険の適用が必要な重篤な症状がある場合には、介護保険に優先して医療保険が適用されることで、適切な医療ケアを受けることができます。

医療保険と介護保険の利用条件と保険料の違い

医療保険と介護保険は利用条件や保険料の算出方法が異なります。これにより、利用者は自身の状況に応じて最適な保険を選ぶことが求められます。以下では、利用条件と保険料の違いについて詳しく説明します。

利用条件の違い

医療保険と介護保険は、それぞれ利用条件やサービスの頻度に制限があるかどうかが異なります。医療保険では、原則として訪問看護の利用は1日1回までであり、週に3回までの利用が可能です。しかし、特定の条件を満たす場合には、週4回以上の利用も認められることがあります。例えば、終末期のケアが必要な場合や、特定の医療的ニーズがある場合には、利用頻度の上限が緩和されることがあります。これにより、病状に応じた柔軟なサポートが提供されます。

一方、介護保険においては、訪問回数に制限が設けられていません。利用者の状態やニーズに応じて、柔軟に訪問頻度を調整することが可能です。このため、介護保険の適用を受けている利用者は、日常生活に密接に関わる支援を頻繁に受けられる点が特徴です。したがって、訪問頻度や利用条件においては、医療保険が医療ケアに特化した制限があるのに対し、介護保険は日常生活のサポートに重きを置いた柔軟な対応が可能です。

保険料の算出方法

医療保険と介護保険では、自己負担額の計算方法も異なります。医療保険においては、自己負担割合が基本的に1割から3割と設定されています。具体的な負担割合は年齢や所得によって異なり、負担軽減措置が適用されるケースもあります。例えば、高齢者や一定の所得以下の方には、自己負担割合が引き下げられる場合があります。また、医療保険には自己負担限度額が設けられており、それを超えた分は公費で補助される仕組みがあります。このようにして、医療的なケアが必要な方でも、経済的負担が軽減されるような制度が整備されています。

一方で、介護保険ではサービスの利用限度額が設定されています。この限度額内であれば、自己負担は基本的に1割から3割となります。限度額を超えた場合には、自己負担が増えるため、利用者は限度額を意識してサービスを利用する必要があります。ただし、要介護度が高い方や所得が低い方には負担軽減措置が適用される場合もあります。介護保険では、サービスの利用頻度や範囲が広いため、経済的負担を軽減しながら柔軟なケアを受けられるような制度設計がなされています。

訪問看護サービスの利用方法

訪問看護サービスを利用するには、利用者やその家族が訪問看護ステーションに連絡し、必要に応じてケアプランを作成することから始まります。訪問看護では、看護師が利用者の自宅を訪れ、医療的なケアや日常生活に必要なサポートを提供します。このセクションでは、訪問看護にかかる費用や、訪問看護と訪問介護の違いについて詳しく解説します。

訪問看護にかかる費用

訪問看護にかかる費用は、利用者が医療保険を利用するか、介護保険を利用するかによって異なります。医療保険を利用する場合、訪問看護に対する自己負担額は、一般的に1割から3割の範囲で設定されています。この負担割合は、年齢や所得などによって異なり、一定条件を満たす方には負担軽減措置が適用されることがあります。また、医療保険を利用した訪問看護では、訪問回数や時間に制限があるため、緊急時の訪問や週4回以上の訪問が必要な場合には、特別訪問看護指示書が発行されることで頻回訪問が可能になります。

一方、介護保険を利用する場合には、訪問看護の費用は要介護度に応じたサービス利用限度額内であれば、1割から3割の自己負担で利用することができます。限度額を超えた場合には、超過分が自己負担となるため、利用頻度や内容には注意が必要です。また、介護保険には特別な加算制度があり、例えば24時間体制のサポートや緊急時の対応には追加の費用がかかることがありますが、これにより利用者は安心して在宅療養を続けられます。

訪問看護と訪問介護の違い

訪問看護と訪問介護は、どちらも在宅での生活を支えるサービスですが、提供されるサポート内容には明確な違いがあります。

1つ目の違いは、提供される支援の種類です。訪問看護は、医師の指示のもと、看護師が利用者の健康状態を観察し、医療的ケアやリハビリテーションを提供する医療サービスです。これには、点滴や投薬管理、褥瘡(床ずれ)のケア、バイタルサインの測定などが含まれ、疾患や障害がある方が健康を維持するために重要な役割を果たしています。また、終末期ケアの一環として、痛みの緩和や最期まで自宅で生活するためのサポートも行います。

一方、訪問介護は、利用者が日常生活を自立して送るための支援を提供する生活支援のサービスです。具体的には、食事や排泄、入浴、洗濯、掃除などの日常的な家事や身の回りのサポートが主な内容です。訪問介護は医療的な行為を行うことができず、医師の指示を伴わないため、生活の質(QOL)の向上を目的とした支援を中心としています。そのため、訪問看護が医療ケアを担うのに対して、訪問介護は生活をサポートする役割を果たしています。

公的医療保険・介護保険を利用する場合

訪問看護は、公的な医療保険や介護保険を利用して受けることができ、利用者の年齢や病状によって適用される保険の種類が異なります。以下では、公的医療保険での利用条件、公的介護保険での利用条件、そして医療保険と介護保険の併用が可能かどうかについて詳しく説明します。

公的医療保険で利用する場合の条件

医療保険で訪問看護を利用するためには、医師の訪問看護指示書が必要です。この指示書は、主治医が訪問看護の必要性を認めた場合に発行され、指示に基づいて訪問看護ステーションが訪問看護サービスを提供します。医療保険が適用されるのは、基本的に40歳未満の方や、65歳以上で要支援・要介護認定を受けていない方です。また、「厚生労働大臣が定める19の疾病および1つの状態」に該当する場合や、特別訪問看護指示書が発行されている場合にも医療保険が適用されます。これには、末期がんや進行性の難病など、特定の疾病に対して医療保険を優先的に適用するケースも含まれます。

さらに、医療保険を利用する場合、訪問回数や時間に制限が設けられており、原則として1日1回までで、週に3回までとされています。ただし、特定の条件を満たす場合には、週4日以上の頻回訪問も可能です。これにより、医療ケアが必要な利用者が適切な支援を受けられるようになっています。

公的介護保険で利用する場合の条件

介護保険を利用する場合は、まず市区町村による要介護認定が必要です。65歳以上で要支援・要介護と認定された方、もしくは40歳以上65歳未満で16の特定疾病に該当する方が対象となります。介護保険での訪問看護の利用は、ケアマネジャーと相談し、ケアプランに基づいて訪問看護サービスを組み入れる形で提供されます。

介護保険では、医療保険と異なり、訪問回数に制限が設けられていません。利用者のニーズや生活状況に応じて、頻繁な訪問が可能です。訪問看護は、日常生活に必要なケアと医療的支援を提供し、利用者の生活の質を高めるために重要な役割を果たしています。また、介護保険には24時間対応加算や緊急対応加算といった特別な加算も用意されており、夜間や緊急時にもサポートが受けられるような体制が整っています。

医療保険と介護保険の併用は可能?

医療保険と介護保険は、原則として併用することはできません。しかし、例外的に併用が可能なケースもあります。例えば、「厚生労働大臣が定める19の疾病および1つの状態」に該当する場合や、医師が特別訪問看護指示書を発行した場合には、医療保険が優先して適用されます。このように、特定の条件下で医療的なケアが優先される場合には、介護保険よりも医療保険が適用されることになります。

また、訪問看護と訪問介護が同時に必要とされる場合でも、どちらか一方の保険を利用する形となるため、医療ニーズに応じた適切な保険の選択が重要です。医療保険が適用されるケースであれば、医療的ケアを中心に支援を受け、介護保険が適用される場合は、生活支援やリハビリテーションを含む包括的なケアを受けられます。

自費で訪問看護を利用する場合と民間保険の活用

訪問看護は公的医療保険や介護保険で利用することが一般的ですが、すべてのケースで保険が適用されるわけではありません。保険適用外の場合には自費で訪問看護サービスを利用することが必要となります。また、民間の医療保険や介護保険の一部では訪問看護サービスをカバーする特約が設けられていることもあるため、こうした保険を活用することも選択肢となります。以下に、自費で利用が必要な場合や民間保険の利用方法について詳しく解説します。

自費での利用が必要なケース

訪問看護を自費で利用する必要があるのは、主に公的保険の適用外のサービスや、利用頻度が保険の制限を超える場合です。具体的には、以下のようなケースで自費利用が発生します。

民間の医療保険・介護保険の利用方法

近年では、訪問看護の利用をカバーする民間保険が増えつつあります。民間の医療保険や介護保険には、訪問看護サービスに対応する特約が付帯されていることがあり、自費での訪問看護利用時の経済的な負担を軽減する手段として活用できます。ここでは、民間の医療保険および介護保険でA問看護を利用する方法について説明します。


  • 医療保険の特約

    民間の医療保険には、特約として訪問看護の利用をカバーするものがあります。例えば、がんや難病に対応する保険では、退院後の在宅ケアを支援するために訪問看護にかかる費用を給付する特約が含まれていることが多いです。特に、緩和ケアが必要なケースでは、訪問看護を受けながら自宅で療養生活を続けるために役立ちます。また、入院が長期化するケースを想定した通院給付金が含まれる保険もあり、これに訪問看護費用が含まれている場合もあります。


  • 介護保険の特約

    民間の介護保険にも、訪問看護を支援する特約が付帯されていることがあります。特に、認知症の方や日常生活に多くの支援が必要な方を対象とした保険では、訪問介護とともに訪問看護にも適用される給付金が設定されていることがあります。このような特約を利用すれば、介護保険の限度額を超えるサービスが必要な場合でも、経済的な負担を軽減しつつ必要なケアを受けることができます。


  • 訪問看護のための専用保険

    一部の保険会社では、訪問看護サービスに特化した専用の保険商品も提供しています。こうした保険は、一般的な医療保険や介護保険と異なり、訪問看護サービスを利用するための費用を幅広くカバーできるのが特徴です。利用条件や支払い限度額が事前に設定されていますが、一般の民間保険よりも柔軟な保障が得られる場合があります。


民間保険を活用する際には、保険商品の内容や利用条件をしっかり確認することが重要です。保険によっては、特約の内容が訪問看護全般に及ばないこともあるため、利用を希望するサービスがカバーされているかどうか事前に確認するようにしましょう。

まとめ:訪問看護の保険適用と料金について

訪問看護は、在宅で医療的なケアを受けることができる非常に便利なサービスですが、その利用には保険の適用条件や費用についての理解が不可欠です。本記事で解説したように、訪問看護には医療保険や介護保険が適用される場合がある一方で、条件を満たさない場合には自費での利用や民間保険の活用が必要になります。

公的医療保険や介護保険の適用について

医療保険が適用されるのは、主に医師の指示がある場合や特定の疾病に該当する場合です。医療保険が適用されることで、訪問看護にかかる費用負担が軽減されるため、重篤な疾患の方や緊急の医療支援が必要な方にとっては大きな支えとなります。一方、介護保険は要介護認定を受けた高齢者や、特定の疾病に該当する中年層の方が対象で、日常生活に支援が必要な場合に適用されます。どちらの保険も、それぞれの対象者に合わせた適切な支援が提供される仕組みになっています。

自費利用や民間保険の活用について

保険適用外の訪問看護利用には、どうしても自費での対応が求められることがあります。訪問回数や時間、夜間対応などの制限を超えた利用が必要な場合、自費による負担が発生するため、利用者は自身の財政状況やケアニーズに合わせて計画を立てる必要があります。さらに、民間保険には訪問看護をカバーする特約が設定されていることも多く、これを活用することで、経済的な負担を軽減しながら必要なケアを受けることが可能です。

訪問看護の利用にあたって

訪問看護を利用する際には、まず保険適用の可否や費用について、訪問看護ステーションやケアマネジャー、医師としっかり相談することが大切です。また、将来的なケアニーズを見据えて、民間保険の特約や専用保険の加入を検討することも役立ちます。適切な保険制度と支援を受けることで、自宅での安心・安全な療養生活を送ることができるようになります。

訪問看護の利用や保険適用に関してさらに知りたい方は、ぜひ「プリュム」にご相談ください。専門のスタッフが、ご家庭の状況に応じた最適なサービス利用のアドバイスを提供いたします。


(参考:厚生労働省 訪問看護のしくみ


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